Olden scape -昔日風景-

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Review

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■ IMAGINE

★☆★ オススメ! ★☆★

目を覚ますとそこは本棚が並ぶ小さな部屋だった。
金髪の少女が顔をあげ、こちらを見る。

「"IMAGINE"へようこそ―――」

地上と上界という2つの大地が存在する世界。
そこは光と闇の戦いが近い、属性が全てを司る世界。
長く続いた均衡(ニュートラル)は終わり、世界は争いの時代となる――はずだった。

存在するはずのない存在。
予定になかった歴史。
主人公を狙い、抹殺しようとする者たち。
それらは、修正しようとすればするほど歪んでいき。

――そして、"世界"は崩れ始めた。

======== 感想 ==========
ファンタジー世界を舞台にした長編RPG。
私的に非常にお気に入りの作品なのですが、序盤からネタばれが始まるのであまりストーリーについて語れないのが辛いところ。とはいえ、配布先の製作者さまサイトでは紹介用のあらすじがほぼネタばれなので、DLしようとすればおのずとどんな話なのかはわかってしまうのですが…。

◆シナリオについて
この頃は良く見られる世界観ですが、キャラクターが個性的なのがプラス要素となり、穏やかで静かな良い雰囲気がでています。
基本的にイベント→ダンジョン攻略→イベントというふうに一本道。
主人公はプレイヤーの分身として存在していて会話しませんが、随所に選択肢が盛り込まれています。どの選択肢を選んだかにより主人公の属性が変化するのですが、この結果で後半の行き先が変わるので注意が必要です。

まず、全体的に漂う雰囲気は非常に好み。
ほか、序盤〜中盤までの世界そのものに大きな謎やそれが徐々に明らかになっていく様、主人公が違和感や疑問を覚えていく過程は上手く感じました。
中盤で主人公は世界の真実を知ることになるのですが、こちらはプレイヤーは序盤から知っている状態なのでやや今更感が。しかしシーンの見せ方が独創的。「IMAGINE」という作品の世界観だからこそ見せられる方法ですが、それでも選択をどうすべきか悩んでしまったので製作者さまの狙い通りだったかもしれません。
(序盤と中盤の「IMAGINEへようこそ」のセリフは、全く受け取り方が異なりました)

反面、全てが明かされた後の繋ぎ方がやや強引だったのは残念なところ。
世界観上、あのシーンは主人公視点でしか進められなかったのは仕方の無いことだとは思うのですが、仲間たちの視点でその後の展開が見られる等、あの盛り上がりあの展開のまま上手く後半に繋いでいってくれたらなと思いました。
ほか、トムとセイラのイベントはもっと主人公も組み入れて深くしてもよかったかも…。


◆システムについて
ツクールの面影がないほど改造しているのは純粋にすごいと思いました。
その中でも例をあげるなら、連撃・ポイント振り分けによる成長・装備強化でしょうか。
「IMAGINE」のキャラは、経験値による自動レベルアップではなく、経験値をプレイヤーが任意に各ステータスに振り分けることで成長していきます。(勿論、得た経験値でレベルアップを行うことも可能)
ステータス強化による低レベルクリアを目指すも、レベルアップによるクリアを目指すも自由というシステムはやりこみがいがあります。…とはいえ、戦闘を繰り返すごとにステータスアップにかかる経験値は増えるので、必然的にシナリオ進行度によって成長を制限させられてしまうのですが。
ちなみにわたしの場合、後半まで全キャラレベル5でした。

装備強化はお金は要りませんが、特有のアイテムが必要となります。
ただし強化できる武器・防具・アクセサリーの種別が多いため、基本は無属性のデフォルト装備を強化していくといいかもしれません。
強化した武器で連撃が続けられると、やはり嬉しいものがあります。
…が、これだけカスタムしたためか、乱数のバグか、たまにダメージ値がものすごいことになるので注意。セイラの武器攻撃が1万〜3万に跳ね上がったときには何事かと思いました…。

ステータスと武器を強化したら、最後は戦闘です。
戦闘もツクール系列では珍しい、システム改変によるサイドビューバトル。
こちらはピクチャーがたまにバグってしまったのが玉に瑕。
相手に攻撃が当たる直前に決定キーを押すことで連続的に攻撃を行えます。敵のHPも連撃を予想して高く設定されているので、できるだけ目押しに慣れ、長く連撃を行うことが勝利への鍵となります。
ただし、操作キャラのステータスが足りない、武器が弱い、属性が同じといった場合、全くダメージを与えられないということもあるので注意が必要です。
ほか、2000のシステムで連携技を組み込んでいるのにも驚きました。


全体を通して、ドット製作者さんの作品のため、キャラや敵グラフィックは非常に綺麗です。
(少し淡く褪せた色彩のデフォルトRTPと比べると縦長な印象)
特にキャラによる煙草を吸う、カクテルシェイカーを振る、グラスを傾ける、大きな翼で空を飛ぶなど、数々のモーションは非常に滑らかで楽しめました。

また、ゲームは製作者さまのサイトにてDLできますが、プレイする場合には最新版の本体のほか差分ファイルもDLすることを勧めます。(本体だけだと戦闘でのターン運びが敏捷度によるものになっているため)


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◆作者: T/I 様
◆HP: imagination.net
 [URL] http://www.geocities.jp/light_psychoman/
◆制作ツール: RPGツクール2000
◆傾向: 長編RPG、ファンタジー、サイドビューバトル、独自成長システム

date:2005/07/12
update:2005/07/12(Tue) 04:15

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