Review
■ イノセントリア
★☆★ オススメ! ★☆★
生まれてから今までお嬢様として育ってきた少女「ルミナ」。
数日間病気で寝込み、ある日目覚めてみると何と実家は破産していた!
家財一式は抵当に入れられ、両親は仲良く娘を置いて夜逃げ済。
少女に残されたものは、親が作った莫大な借金と執事ひとり。
かくして苦労知らずの令嬢は、無一文の逃亡者になった。
逃げに逃げ続ける旅の中、たどり着いたのは豊かな商業都市。
そこで2人は何でも屋のような仕事をする機会を得る。
地獄の沙汰も金しだい。金は天下の回り物。
生活費と旅費の工面のため、お嬢様と執事の資金稼ぎが始まる――。
======== 感想 ==========
「OutRun」を筆頭としたゲーム制作を行っている「ONE'S BRAND」さまの新作ADV(の体験版)。
Web体験版とCDプレス体験版があるようですが、こちらはWeb体験版。
現代の流行語や類似したオリジナルな単語と独特なリズムを持つ特徴的なセリフ回しは健在で、こうしたものを"時代と合わない"と感じるか"オリジナリティ"と感じるかは人それぞれですが、読んでいてテンポよく感じるので私的には好ましかったです。
シナリオについては、主人公の第一目的は資金稼ぎなのですが随所で語られる壮絶な貧乏生活には笑いが零れます。
パンの耳が主食だったりソース類を水で薄めたり…とすごい食生活だった模様。(薄めたソースはかなり不味そう…)
仕事を失敗させつづけているとバッドエンドになりそうなのですが、それに従って食生活も最下層に逆戻りしていったら面白いかもしれません。(そんなシステムはないでしょうが)
体験版では2日目までプレイできるのですが、主なルート変化は職場。
自警団で働くルートと警察院で働くルートがあります。自警団はデューク、警察院は城条の職場なので狙っているキャラクターによって選択するのが吉。(アペリオやマーバングラフはどのルートを選択しても出現します)
ただ、ミニゲームは警察院側のほうが難しいので注意。
ちなみに体験版に登場するキャラクターについての私的感想は以下の通りです。
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● ルミナ
お嬢様育ちの主人公。名前変更可能。
執事に身体・精神共に無意識で依存していそうだなぁというのが第一印象。
性格は非常に明るく強かで元気。ONE'S BRANDさんのゲームの主人公は全員強くも脆い部分のある人なのですが、彼女もそんな雰囲気です。
● クラフト
主人公の執事。クラフトは苗字。名前は…ちょっと吃驚しました。
主人公しか見えていなさそうな人。必殺セリフは「執事ですから」。
のほほんとした微笑を浮かべているけれど、こういう人こそ裏はいろいろあるのだろうなぁと邪推したりも。
デモムービーで見る限り、色々過去に傷と秘密を持っている人のようです。
● アペリオ
プロローグで主人公たちに捕まってしまう怪盗。主人公曰く「変態」。
ちゃらんぽらんそうな言動ですが、こういう人ほど本気になったら執着強そう。
怪盗装束ではないのにルミナが正体に気づくシーンでは、何かの繋がりのようなものを感じました。
やはり色々秘密のありそうな設定…?(デモムービーより感想)
● デューク
自警団員。心身ともに健康優良児といった雰囲気。
恋愛については真っ向勝負をしかけてきそうです。でも最終的には尻に敷かれそう。
ケンカしつつも仲がいいといったEDになりそう…と勝手に予想してみます。
● 城条室史
警察院の監督官。和名なのが特徴的な彼の一人称は「自分」。真面目そうです。
人がいい穏やかな、いじられ…ではなく癒し系に見えました。そしてアペリオより1歳上にはどうしても見えません。さすが童顔。(笑)
彼も彼で目的があるようです。カラーリングからするとアペリオとの絡みかなと思ったり。
● マーバングラフ
魔術同盟に連なる魔術師の名家。体験版では登場シーンのみ。
「OutRun」シリーズからのサービスキャラクター。
あちらのシリーズを知っている人は、プレイするまで双子の姉弟のどちらなのかで悶々としていたのではないかなぁと。
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システム面では可もなく不可もなく、といった形で安心できます。
難を言うなら、セーブ・ロード・バックログがメッセージウィンドウの下部に小さな画像としてしかないので、慣れないとあたふたしてしまうところでしょうか。
メニューバーにもセーブ・ロードボタンがあったらプレイしやすかったのになぁと思うことも多かったです。
逆にセーブデータにコメントが入れられるところはプラス点。
繰り返しプレイをする際にどのデータが何に対応しているのか、日付だけでは判断できないのでコメントはありがたかったです。
ラストのデモムービー2は必見。ラストが非常に意味深に終わります。
製作者自身が「ストーリー重視・重い話である」と明言している通り、いくつもの秘密の断片が垣間見えますが、特に執事や怪盗に大きな秘密があるように感じました。
ここから考えると、この2人がメインルートなのかもしれません。
完成版での個別ED有りが6人(うち恋愛EDは5人)のマルチED方式。
他、シナリオ上のメインED(トゥルーエンド)有。
普通の恋愛ゲームにありがちな仲良くなってEDというわけではなく、重いストーリーを下敷きにしたシナリオメインらしいので、そういった部分も合わせて楽しみな作品です。
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◆作者: 森永セイカ 様
◆HP: 「イノセントリア」公式サイト
[URL] http://www.age.st/~one/IN/
◆制作ツール: Nscripter
◆傾向: 選択肢式ADV、恋愛要素有、シリアス、シェアウェア
update:2004/11/30(Tue) 14:03
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