Review
■ 少年少女の相死相愛
★☆★ オススメ! ★☆★
これは7月5日に始まって、7月7日に終わった物語。
その日その時を一生懸命に生きてる少年少女のお話。
……たぶん。
「このままで居られればよかったのに」
知らない誰かの机上の鉛筆書き。
弱小部の部室への侵入者。
――運命の出会い。
幾つもの視点、繰り返される3日間。その1つ、彼女の視点。
それは唐突に始まり、突然に終わってしまうけれど…。
どちらも、この言葉でしめたいと思います。
『最後まで読んでくれて、ありがとう』
======== 感想 ==========
「茜街奇譚」を制作したNO-HOPEさまの新作(のプレビュー版)。
「主人公はいない」と作者さま自ら明言されているマルチサイト方式のノベルで、不思議でバラバラな、けれど先が気になるお話です。
全エピソード量からすると長い話ですが、1つの視点を1エピソードとしているので今日はこの話まで明日はここまでといったように区切りをつけやすく、通して読む時間のない人もプレイしやすい構成となっています。
ストーリーのほうは、幾つもの要素と物語が重なり合って1つの主軸を作っているため、1視点しかプレイできないプレビュー版では、謎の大部分が謎のまま残っています。
ちなみに、プレビュー版の視点(女生徒"峰川あかり"の視点)は、かなり予想外な終わり方だとだけ言っておきます。(笑)
ミステリーに近いけれど推理ものではないと作者さまが言っていたのをすっかりと忘れ、恋に事件に…という想像をしてしまっていたので、「さあ、ここから捜査が始まるんだ」というところでのラストシーンに衝撃を受けました。(部屋を暗くして見たら心臓が跳ねるかも)
システムに関しては、プレイしてまず相変わらずの画面効果の使い方のうまさを再確認。
ここぞというところで画面デザインを変更したり。
1点具体例を挙げるならシーンの切り替わりでしょうか。
モノクロや赤を象徴的に使い、何が起こるのかをプレイヤーにわざと想像させ、緊迫感や不安感を煽ってストーリーに引き付ける手法を取っています。
シーンによってカラーを変えるのは「茜街」でも使用していましたが、綺麗な写真素材やイラスト素材が多い中、あえて写真を線画抽出で二色化して使用しているところに個性を感じたりも。
いくつも重なる事件と事象、人間関係。
何人もの「3日間」の物語が、どういうふうに重なり帰結するのか今から楽しみな作品です。
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◆作者: NO-HOPE 様
◆HP: 詩的廃屋-Lyrical Deli-
[URL] http://lyrical-deli.com/
◆制作ツール: 吉里吉里2/KAG3
◆傾向: デジタルノベル、ミステリー、マルチサイト
update:2004/11/21(Sun) 13:19
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