Review
■ Kira*Kira Renewal
母から虐待を受け、長く施設で療養をしていた妹と合うことになった主人公「長谷部 七緒」。子供だった故に妹を守れなかったという負い目を背負い、引き離された妹といつかまた暮らしたいと必死に自立に務めてきた主人公の前に現れた妹は、はたしてどのような成長をしたのだろうか。
そして、「家族」というものに裏切られた兄妹は、再び兄妹として、家族として生きていけるだろうか。
昔に無くした、キラキラした何かを、もう一度取り戻せるのだろうか…。
======== 感想 ==========
ゆうきあずさ様監修の同人ゲーム。
HTMLノベルとして雑誌掲載されていたもののリメイク作品で、プレイ時間は１時間〜１時間半ほどです。
「恋愛」ゲームではないので注意。
どちらかというとシリアス（ルートによってはダーク）な展開です。
メインシナリオは妹の「八重」ちゃんと家族になれるかどうかの話なんですが、あれこれと気を回しているお兄さんの奮闘ぶりが涙を誘います。
セリフのテンポのいいかけあいとは裏腹に、シナリオの展開はルートによっては非常にシリアス、かつ暗いものになります。わたしはファーストプレイでは一番ダークな部分がないEDにたどり着いたのですが、４つあるEDのうち１つはバッドEDに近いので、そちらになると後味は少し悪いかも…。
でもこのバッドルートだと、過去におきた事件の謎が全て解けることになります。世界には解かないほうがいい謎も多いという訓戒のようなEDですね。（汗）
私的には３番目のダイビング・ハッピー（？）エンドが好き。スチルや展開などからするとおそらくこれがトゥルーなのかなと思ったりするのですが、どうなのでしょうか。
また、４つのEDを全て見るとおまけシナリオとして妹視点の番外編が遊べるのですが、ここでしか出てこない社長が非常にいい味を出してます。というか男性としてかなりかっこいい人なんじゃないかなと。ナンパな人のようですが。（笑）
しかしチェーンのかかった扉を七緒はどうやって破って入ってきたんでしょう。引きちぎり…？
システムについてはコンフィグ部分が凝っていて、右横にでるバーについている花のシルエットがボタンになっており、選択すると蔓が横に延び、その上に関連した設定が表示されます。こういう見せ方は初めてだったので、こういうこともできるんだなぁと製作者側の技量の高さと同時に、ツール自体の自由度にも驚きました。
ただ、そういったモーションが出るため目的の設定箇所にいくまで時間がかかるのと、セリフスキップもコンフィグからじゃないと設定できないところだけ、少し面倒くさく感じもしたり。
プロとしてゲームにも携わったことのあるゆうきさん原画の可愛らしいキャラの立ち絵やスチルのほか、多種の背景、BGMなどもとても綺麗で、短篇なのが非常に残念…！ とはいえ、このクオリティを中編、長編で維持するというのは難しいものがあると思うのでしょうがないかなと思います。
根底にあるものが「虐待」（番外編は別の問題を提示してますが）という重いもののせいか、プレイ推奨年齢は１２歳以上となっています。
現実世界でも問題視されているものをテーマにしているためプレイする人を選ぶ作品ですが、直接的に虐待の描写が描かれることはない半面、心理描写が非常に上手く、心に残りました。
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◆作者： JEWEL MASTER 様
◆HP： 「Kira*Kira:Renewal」公式サイト
[URL] http://www.azline.org/JM/kirakira/
◆制作ツール： 吉里吉里２/ＫＡＧ３
◆傾向： サスペンスビジュアルノベル・マルチED・シェア（イベント：1500円/書店委託：2205円）
update：2004/10/11(Mon) 13:30
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