Review
■ ヒトカタ
★☆★ オススメ！ ★☆★
「牛鬼」と呼ばれる妖怪の追難伝承が残る町「打追町」。
町は、牛鬼を封じる儀式の名残として毎年行われている牛追祭を間近に控えていた。
しかし今年、牛鬼は甦るのだという。それを阻止し牛鬼を倒すために主人公は親戚である依絵に打追町に呼ばれる。
牛鬼を倒す期限は祭が始まるまでの4日間。
平安時代にその妖怪を封じた陰陽師の末裔であり、「あなただけが牛鬼を討てるのだ」と言う親戚のその言葉を頼りに主人公の牛鬼探索が始まる…。
======== 感想 ==========
伝奇サウンドノベル。MP3版とMIDI版があり、MIDI版はフリー素材を使用、MP3はオリジナル曲を使用しています。MP3版は回線が細い人はダウンロードが大変ではあるのですが、音楽がとても綺麗でストーリーに合っているので、私的にはMP3版を強くお勧めします。
ストーリーについては１本道なので、バッドエンドになってしまうなど、そういうことはありません。
ヒロインは３人居ますが、それぞれとの恋愛や葛藤などが上手く表現されていると思います。
ただ、あらかさまな下ネタが随所にあるので、そういうものに引いてしまう方は難しい作品かなと思いました。なので、プレイする時はそういうものを理解してて笑って流せる人ではないと引いてしまうのではないかと。
とはいえ内容はよく練られていて矛盾もなく読み進められ、中盤〜終盤の葛藤などは読んでいて読み応えがありました。逆に、ストーリーの謎については伏線がうまく引かれすぎたせいか、提示された情報の断片から直感的に解ってしまうものが多く、謎明かしのカタルシスは少ないかも。
（わたしは大体はあっていたけれど、一番大きなところで間違いましたが）
======== !! 少しネタばれ !! ==========
「時間跳躍」が幾度か入るため、同じ文章を何度も読み返さなければいけないのには多少ストレスを感じますが、これも「既読スキップ」という機能で解消されています。この話はこの機能がなければ途中で脱落するプレーヤーも多かったのではないかなと思うので、スキップ機能を持つスクリプトで制作したというのにも好感が持てました。
ラストシーンは、解っていた結末ではあるのですが物寂しい気持ちになります。
頑張って頑張って、沢山苦しんで。
葛藤の末、多くの気持ちを抱え込んだクライマックスがあるからこそ、余韻はあるけれど切ない終わり方だと思いました。
……ED後に読める、作者さんの言葉が真実であることを祈ります。
------ [Check]------------------------------------
◆作者： お竜 様
◆HP： ゲルひみつ結社
[URL] http://oryu.g-7.ne.jp/
◆制作ツール： NScripter
◆傾向： 伝奇ノベル、一本道、恋愛
update：2004/07/30(Fri) 14:32
:: P column M-i-O ::